冬休みが始まって数日。気がつけば、子どもは朝からゲーム、夕方もテレビ。「いいかげんにしなさい!」と声を荒らげて、親子ともにぐったり……。長いお休みには、こんな日が一度や二度はあるものです。
ゲームやテレビのルールで毎日のようにぶつかってしまうのは、親の言い方が悪いからでも、子どもがだらしないからでもありません。多くの場合、ルールを決めるタイミングが遅いのです。
今日は、冬休みが始まる前に家族のルールを決めておく理由と、守られるルールのつくり方、そして破られたときの考え方をお伝えします。
ルールは「困ってから」決めると守られない
ゲームのやりすぎに困ってから「今日から1日1時間ね」と言うと、子どもにとってそれは「楽しいことを急に取り上げられた」体験になります。反発したくなるのは当然です。
一方、休みが始まる前、まだ何も問題が起きていないときに「冬休み、どう過ごしたい?」と話し合って決めたルールは、子どもにとって「自分も参加して決めた約束」になります。
同じ「1日1時間」でも、押しつけられたルールと、一緒に決めたルールでは、守ろうとする気持ちがまったく違うのです。
守られるルールをつくる5つのポイント

1. 子どもと一緒に決める
「何時間ならいいと思う?」と、まず子どもの考えを聞きます。子どもが「3時間!」と言っても、すぐに否定せず、「宿題やお手伝い、外遊びの時間も入れると、何時間くらいになるかな」と、1日の過ごし方全体から一緒に考えていきます。
2. 「時間」より「区切り」で決める
「1日1時間」のような時間のルールは、意外と守りにくいものです。何時から始めたか、あと何分かを数えるのが大変だからです。「夕ごはんの前まで」「宿題が終わってから」のように、生活の区切りで決めると、子どもにもわかりやすくなります。
3. 終わり方まで決めておく
ゲームは、途中でやめにくいものです。「時間になったら、今のステージが終わったらおしまい」「セーブできるところまで」など、終わり方まで決めておくと、「あと少しだけ!」の言い合いが減ります。
4. 紙に書いて、見えるところに貼る
口約束は、どちらの記憶が正しいかで揉めがちです。決めたルールは紙に書いて、家族みんなが見える場所に貼っておきます。子どもに書いてもらうと、さらに「自分の約束」という気持ちが強くなります。
5. 大人も同じルールを守る
子どもにゲームの時間を決めながら、大人がずっとスマホを見ていたら、子どもは納得できません。「ごはん中は家族全員スマホを置く」など、大人も一緒に守るルールを入れると、家族のルールとして受け入れやすくなります。
冬休みのルール、こんな項目を決めておくと安心
- ゲーム・動画の時間(区切りで決める)
- ゲーム・動画をしない時間(ごはん中、寝る前の1時間など)
- 朝起きる時間・寝る時間
- 宿題をする時間帯
- 家族のお手伝い(1人1つ)
- 外遊びや体を動かす時間
- お年玉など、お金の使い方
全部を細かく決める必要はありません。家族で特にぶつかりやすいことを2〜3個だけ決めるところから始めてみてください。
ルールが破られたときの考え方

どんなに上手にルールを決めても、守れない日は必ずあります。大切なのは、破られたときにどう向き合うかです。
責めるより「どうしたら守れる?」と聞く
ルールを破ったとき、「約束したでしょ!」と叱りたくなります。でも、子どもも守れなかったことはわかっています。「どうしたら守れそう?」と聞くと、子どもは「タイマーをかける」「時計が見える場所でやる」など、自分なりの工夫を考え始めます。
ルールそのものを見直す
何度も破られるルールは、そもそも無理があるのかもしれません。休みの途中で「このルール、どうだった?」と家族で話し合い、見直してかまいません。ルールは一度決めたら変えてはいけないものではなく、家族に合わせて育てていくものです。
守れた日を認める
ルールは、守れなかった日ばかりが話題になりがちです。でも、守れた日にこそ「今日は時間どおりにやめられたね」と声をかけてください。認められた経験が、次の日も守ろうとする気持ちにつながります。
なぜ「一緒に決める」ことに意味があるのか
ルールづくりの目的は、子どもにゲームを我慢させることではありません。本当の目的は、子どもが自分で時間を使い分けられるようになることです。
大人になれば、誰も「ゲームは1時間まで」とは言ってくれません。仕事や家事と、自分の楽しみの時間を、自分で決めていく必要があります。その練習を、家族というやさしい場所で始めるのが、子ども時代のルールづくりなのだと思います。
親が決めたルールを守らせるだけでは、親が見ていないところでは守られません。でも、自分で考えて決めたルールは、自分の中に残ります。冬休みは、その練習にぴったりの、少し長めの時間です。
わが家の「冬休み会議」でやっていること
わが家では、終業式の前の週末に、家族で「冬休み会議」を開いています。大げさなものではなく、夕ごはんのあとにお茶を飲みながら15分ほど話すだけです。
まず、子どもたちに「冬休みにやりたいこと」を自由に言ってもらいます。ゲームの新しいステージをクリアしたい、友だちと遊びたい、おばあちゃんの家に行きたい。次に、親から「冬休みにやってほしいこと」を伝えます。宿題、お手伝い、早寝早起き。そして最後に、両方をかなえるにはどうしたらいいかを一緒に考えて、紙に書きます。
この会議を始めてから、ゲームの時間をめぐる言い合いがはっきり減りました。子どもが「自分で言ったことだから」と、時間になると自分からゲームを置くようになったのです。ルールの中身より、決め方が子どもの行動を変えるのだと実感しています。
よくある質問
Q. 何歳くらいから一緒にルールを決められますか?
3〜4歳くらいでも、「ごはんの前にはテレビを消そうね」のような簡単な約束なら一緒に決められます。年齢が上がるほど、子どもの意見を取り入れる割合を増やしていくとよいでしょう。
Q. きょうだいでルールを変えてもいい?
年齢が違えば、ルールが違うのは自然なことです。「お兄ちゃんは寝る時間が遅いから」など、違う理由をきちんと説明すれば、下の子も納得しやすくなります。
Q. 祖父母の家に行くとルールが崩れます。
帰省中は特別、と割り切るのもひとつの方法です。「おじいちゃんの家ではOK、家に帰ったら元に戻す」と、場所ごとのルールとして先に話しておくと、帰宅後の切り替えがスムーズになります。
Q. ゲームを取り上げる罰は効果がありますか?
一時的には効果があるように見えますが、子どもが「見つからないようにやる」ことを覚えてしまう場合もあります。罰より、守れる工夫を一緒に考えるほうが、長い目で見て身につきやすいと言われます。
まとめ:ルールは「休み前」に「一緒に」決める
- 困ってから決めたルールは「取り上げられた」と感じられ、守られにくい
- 休み前に、子どもと一緒に決める
- 時間より区切りで決め、終わり方まで決めて、紙に書いて貼る
- 大人も同じルールを守る
- 破られたら責めずに「どうしたら守れる?」。ルールは見直してよい
冬休みが始まる前の週末に、家族で15分だけ「冬休みの過ごし方会議」を開いてみてください。その15分が、長いお休みの毎日を、ずっと穏やかにしてくれるはずです。
