家族でトランプをしていたら、負けた子どもが大泣き。カードを投げて、「もうやらない!」。次の日もかけっこで負けて、泣きながら怒っている——。
負けると泣いてしまう子どもを見ると、親はどう関わればいいか迷います。泣かせたくなくて、ついわざと負けてあげる。でも、それでいいのかな、という気持ちもどこかにある。そんな方も多いのではないでしょうか。
今日は、子どもが負けると泣いてしまう理由と、負けず嫌いを「くやしさに強い力」に変える関わり方をお伝えします。結論から言うと、負けて泣くのは悪いことではありません。大切なのは、負けたくやしさを、安心して味わい、立ち直る経験を積ませてあげることです。
負けず嫌いは、悪いことではない
まず知っておきたいのは、負けず嫌いは「がんばりたい」「うまくなりたい」という気持ちの裏返しだということです。勝ちたい気持ちがあるからこそ、練習したり、工夫したりする力が生まれます。
負けて泣くのは、それだけ真剣に取り組んでいた証拠でもあります。親がすべきなのは、負けず嫌いをなくすことではなく、負けたときの気持ちとの付き合い方を、少しずつ一緒に練習していくことです。
負けると泣いてしまう3つの理由

1. 「負け=自分がだめ」と感じている
小さな子どもは、ゲームの勝ち負けと、自分の価値を結びつけて考えてしまうことがあります。負けたことが、「自分はできない子だ」という気持ちにつながり、悲しくなってしまうのです。
2. くやしい気持ちの扱い方を知らない
くやしい、悲しい、腹が立つ。いろいろな気持ちが一度にわき上がっても、子どもはその気持ちを言葉にしたり、落ち着かせたりする方法をまだ知りません。だから、泣いたり怒ったりして外に出すしかないのです。
3. 勝つ経験ばかりしている
家で大人がいつも負けてあげていると、子どもは負ける経験が少ないまま育ちます。すると、園や学校で負けたときに、どうしていいかわからなくなってしまうことがあります。
わざと負けてあげるのは、やめたほうがいい?
小さいうちは、ときどき大人が負けてあげて、「勝つうれしさ」を味わわせるのも悪いことではありません。ゲームを楽しいと感じることは大切です。
ただし、いつも負けてあげていると、子どもは負けたときの気持ちと向き合う練習ができません。年齢に合わせて、少しずつ本気で相手をする場面も増やしていきましょう。勝ったり負けたりする中で、子どもは「負けても、またやればいい」ということを学んでいきます。
「負けても大丈夫」を育てる4つの関わり方

1. くやしい気持ちを言葉にしてあげる
泣いている子どもに、「くやしかったね」「勝ちたかったんだよね」と、気持ちを言葉にしてあげます。自分の気持ちに名前がつくと、子どもは少しずつ落ち着いていきます。「泣かないの」と止めるより、気持ちを受け止めるほうが、立ち直りは早くなります。
2. 結果より、がんばったところを伝える
負けたときこそ、「最後まであきらめなかったね」「さっきのカード、よく考えてたね」と、がんばったところを具体的に伝えます。勝ち負けだけが大事なのではない、ということが伝わります。
3. 大人が「上手な負け方」を見せる
大人が負けたときに、「あー、くやしい!次は負けないぞ」「〇〇ちゃん、強いね。おめでとう」と言う姿を見せましょう。くやしがってもいい、そして相手をたたえることもできる。その姿が、子どもにとって一番の手本になります。
4. 運の要素が大きいゲームを取り入れる
すごろくやカードめくりのように、運で勝ち負けが決まるゲームは、負けても「たまたま」と思いやすく、負ける練習にぴったりです。大人も子どもも同じ条件で遊べるので、本気で楽しめます。
落ち着いたあとに話したいこと
泣きやんで落ち着いたら、少しだけ振り返ってみましょう。「どうしたら次は勝てるかな?」と聞くと、子どもなりに作戦を考え始めます。くやしさを、次への工夫に変える経験は、勉強やスポーツなど、これから先のいろいろな場面で役に立ちます。
また、「カードを投げるのはよくなかったね」と、行動については落ち着いてから伝えるようにします。泣いている最中に注意しても、子どもの耳には入りにくいものです。気持ちは受け止め、行動は落ち着いてから伝える。この順番を意識しましょう。
きょうだい・友だちと遊ぶとき
年の差があるきょうだいで遊ぶと、下の子が負けてばかりになることがあります。そんなときは、「下の子はサイコロを2回振れる」などのハンデを、みんなで決めてみましょう。ルールを工夫することで、どちらも楽しめるゲームになります。
友だちと遊ぶときに負けて泣いてしまうことが心配なら、家で「負けたら何て言う?」を練習しておくのもおすすめです。「くやしい!もう1回やろう」。言葉を用意しておくと、その場でも気持ちを立て直しやすくなります。
勝ち負けのない遊びも大切に
負けず嫌いな子と過ごしていると、つい「負けに慣れさせなきゃ」と考えてしまいます。でも、毎日が勝ち負けのある遊びばかりだと、子どもも親も疲れてしまいます。
積み木を高く積む、みんなで一枚の大きな絵を描く、家族でパズルを完成させる。勝ち負けのない遊びや、みんなで協力してひとつのゴールを目指す遊びも、バランスよく取り入れましょう。協力して何かをやりとげる経験は、「みんなでやると楽しい」という気持ちを育ててくれます。
また、ゲームの中で「昨日の自分」と比べるのもおすすめです。「この前は10回だったけど、今日は12回跳べたね」。人と比べる勝ち負けではなく、自分の成長に目を向けられると、負けたときのくやしさにも少しずつ強くなっていきます。
負けず嫌いな子は、裏を返せば、目標に向かってがんばれる子です。その力が、人と比べることだけでなく、自分の成長に向かうように、親がそっと方向を整えてあげられるといいですね。
よくある質問
Q. 負けそうになると途中でやめてしまいます。
負けるのが怖いのかもしれません。短い時間で終わるゲームから始め、「最後までできたね」と、続けられたことを認めてあげましょう。
Q. 勝つとすごく自慢して、相手を怒らせます。
勝ったときの振る舞いも、練習が必要です。「勝ったときは、ありがとうって言おうね」と、勝ち方のルールも家族で決めておくとよいでしょう。
Q. 何歳くらいで落ち着きますか?
子どもによって大きく違います。気持ちを言葉にできるようになるにつれて、少しずつ落ち着いていくことが多いので、焦らず見守りましょう。
Q. 園の運動会やかけっこで負けて落ち込んでいます。
みんなの前で負けるのは、家でのゲームよりくやしいものです。結果に触れるより先に、「最後まで走ったね」「練習がんばってたもんね」と、取り組んだ過程を認めてあげましょう。落ち着いてから、「また一緒に練習しようか」と誘うと、くやしさが次への意欲に変わっていきます。
まとめ:くやしさは、育つ力のもと
- 負けず嫌いは、「がんばりたい」気持ちの裏返し
- 負けて泣くのは、負けと自分の価値を結びつけたり、気持ちの扱い方を知らなかったりするから
- いつも負けてあげると、負ける練習の機会がなくなる
- 気持ちを言葉に、がんばりを伝え、大人が上手な負け方を見せる
- 気持ちは受け止め、行動は落ち着いてから伝える
次に家族でゲームをするときは、大人が負けたときに「くやしい!次は勝つぞ」と、ちょっと大げさにくやしがってみてください。その姿が、子どもにとって「負けても大丈夫」のいちばんの手本になります。
