下の子が生まれて、家族がひとり増えた喜び。でも、その一方で、上の子が急に「抱っこして」「自分でできない」と甘えるようになったり、赤ちゃんに意地悪をしたりして、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。新生児のお世話で寝不足のなか、上の子にもやさしくしたいのに、つい「お兄ちゃんなんだから」と言ってしまう——。
この記事では、下の子が生まれたときの上の子ケアについて、具体的な関わり方と、赤ちゃん返りへの向き合い方を紹介します。後半では、上の子が本当に求めているものについてもお話しします。
上の子に起きている変化とは
大人にとって、きょうだいが増えるのはうれしい出来事です。でも、上の子の立場から見ると、少し違って見えています。
それまで、パパやママの時間と関心を独り占めしていたのに、ある日突然、小さな赤ちゃんがやってきて、親の手も目も赤ちゃんに向くようになる。上の子にとっては、「自分の居場所が変わってしまう」くらい大きな出来事なのです。
その不安が、赤ちゃん返り、わがまま、赤ちゃんへの意地悪、反対に「いい子」になりすぎる、といった形で表れることがあります。どれも、「自分のことも見てほしい」というサインだと受け止めてみてください。
上の子の気持ちを満たす6つの関わり方

1. 上の子を優先する場面をつくる
赤ちゃんが少し泣いていても、安全なら「ちょっと待っててね、今〇〇ちゃんのお話を聞いてるから」と、あえて上の子を優先する場面をつくりましょう。赤ちゃんに向かって言うのがポイントです。上の子は「自分が先なんだ」と感じられます。
2. 1日10分の「ひとりじめタイム」
下の子が寝ている間や、パートナーに見てもらっている間に、上の子とだけ過ごす時間をつくります。長さより、毎日続けることが大切です。「この時間は〇〇ちゃんだけのママ」と言葉にすると、さらに伝わります。
3. 「お手伝い」を頼みすぎない
「おむつ取ってきて」と頼むと、上の子が誇らしげにしてくれることもあります。ただ、頼みすぎると「赤ちゃんのお世話係」になった気持ちになることも。お手伝いは、本人がやりたがったときだけで十分です。
4. 赤ちゃんの代弁をする
「〇〇ちゃんが見ててくれるから、赤ちゃん安心してるね」「赤ちゃん、お兄ちゃんの声が好きみたい」。赤ちゃんの気持ちを代わりに伝えると、上の子は赤ちゃんとの関係を前向きに感じられるようになります。
5. 上の子の赤ちゃん時代の話をする
「〇〇ちゃんも、こうやって抱っこしてたんだよ」と、上の子が赤ちゃんだったときの写真や話を見せてあげましょう。「自分もこんなに大切にされていたんだ」と実感できます。
6. 周りの大人にも協力してもらう
祖父母や親戚が訪ねてきたとき、つい赤ちゃんばかりに注目が集まりがちです。「最初に上の子に声をかけてね」とお願いしておくと、上の子の寂しさが和らぎます。
赤ちゃん返りへの向き合い方

トイレができていたのにおもらしをする、自分で食べられたのに「食べさせて」と言う。赤ちゃん返りは、親にとっては負担が増えるので、つい「もうできるでしょ」と言いたくなります。
でも、赤ちゃん返りは、甘えを受け止めてもらうことで安心し、自然とおさまっていくことが多いと言われます。できる範囲で「いいよ、今日は食べさせてあげる」と応じてみてください。「甘えても大丈夫」と感じられると、子どもは安心して、また自分でやろうとし始めます。
もちろん、すべてに応じる必要はありません。手が離せないときは、「今は赤ちゃんのおむつだから、終わったら抱っこするね」と、後で応じることを約束するだけでも十分です。約束を守ることが、信頼につながります。
「お兄ちゃんなんだから」を言いそうになったら
寝不足と忙しさのなかで、「お兄ちゃんなんだから我慢して」と言ってしまうのは、誰にでもあることです。自分を責める必要はありません。
ただ、上の子は「お兄ちゃん」になりたくてなったわけではありません。言ってしまったときは、あとで「さっきはごめんね。〇〇ちゃんもまだ甘えたいよね」と伝えてあげてください。それだけで、上の子の心はずいぶん軽くなります。
上の子が本当に求めているもの
上の子ケアで大切なのは、上の子と下の子を「平等に」扱うことではないのかもしれません。赤ちゃんには、お世話という形でどうしても多くの時間がかかります。時間を平等に分けることは、現実的には難しいものです。
上の子が求めているのは、時間の長さよりも、「自分は今でも特別な存在なんだ」という実感です。ひとりじめタイムの10分、赤ちゃんより先に声をかけてもらえた一言、赤ちゃん時代の写真。そうした小さな積み重ねが、「赤ちゃんが来ても、自分の居場所はなくならない」という安心感になっていきます。
そして、その安心感があってこそ、上の子は少しずつ、本当の意味で「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」になっていくのだと思います。
パートナーと協力するためのポイント
上の子ケアは、ママだけ、パパだけで抱えるには大変です。「赤ちゃんのお世話」と「上の子との時間」を分担すると、どちらにも余裕が生まれます。たとえば、休日は一方が赤ちゃんを見ている間に、もう一方が上の子と公園へ。上の子にとっては、パパやママと二人きりで出かける特別な時間になります。
よくある質問
Q. 赤ちゃん返りはいつまで続きますか?
子どもによってさまざまですが、上の子が「甘えても大丈夫」と安心できると、少しずつ落ち着いていくことが多いです。数週間で落ち着く子もいれば、数か月かかる子もいます。長く続く、生活に大きな支障が出るなど心配なときは、園の先生や地域の子育て相談に話してみてください。
Q. 上の子が赤ちゃんをたたいてしまいます。
たたく行動は、すぐに止めて「たたくのはダメ」とはっきり伝えます。そのうえで、「赤ちゃんばっかりで嫌だったんだね」と気持ちを受け止めてあげてください。行動は止め、気持ちは否定しない。この2つを分けることが大切です。
Q. 産後で体力がなく、上の子と遊ぶ余裕がありません。
体を動かす遊びでなくて大丈夫です。横になりながら絵本を読む、上の子の話を聞く、一緒に赤ちゃん時代の写真を見るだけでも、上の子にとっては大切な時間になります。パートナーや祖父母に上の子と遊んでもらう時間をつくるのも、立派な上の子ケアです。
Q. 「赤ちゃんいらない」と言われました。
ドキッとする言葉ですが、上の子の正直な気持ちです。「そう思うくらい、さみしかったんだね」と受け止めてあげてください。叱ったり否定したりすると、気持ちを言葉にしなくなってしまいます。言葉にできているうちは、むしろ安心していいサインです。
まとめ:上の子に「あなたも特別」を伝えよう
- 下の子の誕生は、上の子にとって居場所が変わるほどの大きな出来事
- 赤ちゃん返りや意地悪は、「自分も見てほしい」というサイン
- 上の子を優先する場面、ひとりじめタイム、赤ちゃん時代の話が効果的
- 赤ちゃん返りは受け止めると、自然とおさまっていくことが多い
- 大切なのは平等より、「あなたも特別」と伝わること
今日、上の子に「〇〇ちゃんが赤ちゃんだったときもね」と話しかけてみてください。照れくさそうに、でもうれしそうに聞いてくれるはずです。

