北海道・知床半島は、手つかずの自然が残る貴重な世界自然遺産。
その圧倒的な景観と、野生動物が息づく環境の中を歩く「知床トレッキング」は、心と体に深く残る体験です。
初心者向けから本格派向けまで、多様なルートが揃い、滝・湖・断崖・湿原と変化に富んだ風景が広がります。
この記事では、知床でおすすめの4大トレッキングルートを中心に、アクセス方法や日程プラン、装備チェックリストまで、初めての方にも安心な情報をまとめました。
さあ、知床の大自然に一歩踏み出してみましょう!
主なトレッキングコースと魅力
知床トレッキングは、世界自然遺産に指定された知床半島の大自然を、ガイドとともに歩いて体感する人気のアウトドアアクティビティです。
清らかな原生林、断崖絶壁越しに広がるオホーツク海、野生動物の痕跡など、都会では味わえない圧倒的な自然美に出会えます。初心者から上級者まで楽しめるコースが複数存在し、季節や体力に応じて最適なプランを選べます。
この章では、代表的なコースや注意点、アクセス・服装・装備までを網羅してご紹介します。
🌲 知床五湖トレッキング
散策路と高架木道を巡りながら、静寂と鏡池の美しい湖景を楽しむ初心者向けコース。ガイド同行で野生動物の痕跡や生態を解説します。所要約3時間、料金6,000円程度
🌲 知床五湖トレッキング
知床五湖トレッキングは、知床を訪れるならまず体験したい代表的な自然散策ルートのひとつです。世界自然遺産に指定された知床半島の中でも、静寂な原生林と美しい湖が点在するこのエリアは、四季折々の景色が訪れる人の心を打ちます。五つの湖はそれぞれ大きさや形が異なり、なかでも一湖から見える知床連山の姿は圧巻です。
このトレッキングは、2つのルートに分かれています。一つは「高架木道コース」で、ヒグマ対策として整備された約800mのバリアフリー木道。もう一つは「地上遊歩道コース」で、ガイド同行が義務づけられている期間もある全長約3kmのルートです。地上遊歩道では、五つすべての湖を巡ることができ、野生動物の痕跡や植物についても詳しい解説を受けながら歩くことができます。
特に春から初夏にかけては花々が咲き誇り、秋には黄金色の葉が湖面に映り込み、幻想的な景色が広がります。また、運がよければエゾシカやキタキツネの姿を間近に見ることもできます。全体的に道は整備されていますが、ところどころぬかるんでいる場所もあるため、防水性のある靴が望ましいでしょう。
所要時間は約3時間。初心者でも十分に楽しめるコースでありながら、知床の自然の多様性と壮大さを体感できるため、多くの旅行者に人気があります。自然解説を聞きながら五感で自然を味わいたい方には最適のルートです。
🌄 原生林&断崖絶景トレッキング
森林を抜け、断崖からオホーツク海を望むワイルドなルート。ガイドとけもの道を進む冒険気分が魅力。約3.5時間、料金6,000円程度
🌄 原生林&断崖絶景トレッキング
「原生林&断崖絶景トレッキング」は、知床の“野生の姿”により深く触れたい中級者以上のトレッカーにおすすめのコースです。このルートでは、まるで時間が止まったかのような原始の森を抜け、やがて目の前に広がるオホーツク海の絶景へとたどり着きます。コースは地元ガイドと共に進むことが基本で、舗装されていないけもの道や、湿った土壌、木の根が張り出した森の中を進みます。
出発直後から始まるのは苔むした林床と、大小さまざまなシダや木々のトンネル。知床特有の気候が育む深い森には、キツツキが木を叩く音や、遠くで鳴くエゾシカの声が響き、静けさの中にも生命の気配が満ちています。登山というよりも、自然の息吹を感じる“探検”といった雰囲気が強く、参加者の多くが「まるで映画の中にいるよう」と評します。
コースの中盤からは斜面をゆっくりと登っていき、樹木がまばらになると、ついに知床岬や羅臼岳方面の海岸線を望む絶景ポイントへ。視界が開けたその瞬間、眼下に広がる青い海と切り立った断崖のコントラストに、息をのむこと間違いなしです。9月〜10月にかけては、紅葉に染まる森の色と海の青が一層美しく、シャッターチャンスも豊富です。
全体の所要時間は約3.5時間。歩行距離は片道約3kmですが、自然地形を歩くため、一般的な登山道よりも体力を消耗します。その分、到達感と自然との一体感は格別です。水分補給と休憩をこまめにとりつつ、動植物の観察を楽しみながら進みましょう。体力に少し自信があり、知床の奥深さを体感したい方にぴったりのルートです。
💧 フレぺの滝ネイチャーウォーク
片道1kmの手軽なコースながら、滝と海との絶景が魅力。ご年配や子どもも安心して参加でき、初参加者にもおすすめです。2時間・4,000円前後
💧 フレぺの滝ネイチャーウォーク
知床の玄関口とも言えるウトロ地区から気軽にアクセスできる「フレぺの滝ネイチャーウォーク」は、初心者や家族連れ、高齢の方まで安心して楽しめる自然散策コースとして人気です。このコースの特徴は、歩行距離が片道1km程度と短く、平坦なルートが中心でありながら、知床の壮大な自然美と野生動物の気配をしっかりと体感できる点にあります。
スタート地点は知床自然センター。ここから緩やかな草原地帯を進み、徐々に広がるオホーツク海と知床連山の眺望が旅の期待を高めてくれます。道中ではエゾシカやキタキツネが姿を現すことも珍しくなく、双眼鏡やカメラを持っているとより楽しめます。また、途中に広がる湿原には季節ごとに様々な野草や野鳥が見られ、自然観察の絶好の場となっています。
コースのハイライトは、なんといっても「乙女の涙」とも呼ばれるフレぺの滝。高さ約100mの断崖から、岩の割れ目を流れるように静かに落ちる細い滝の姿は、他の観光地では見られない神秘的な風景です。勢いよく流れる滝とは違い、繊細で控えめなその流れは、知床の静けさと調和して心に染み入るような感動を与えてくれます。滝の展望台は断崖の上に設けられており、周囲には遮るものがないため、海の広がりと滝の絶景を同時に楽しめます。
ガイドツアーに参加すれば、滝の成り立ちや周辺に生息する動植物の知識も得られ、知床という世界遺産をより深く知ることができます。また、このコースは2時間前後の所要時間で完結するため、旅行のスケジュールがタイトな方にも最適です。
安全に配慮された整備されたコースでありながら、知床のエッセンスを凝縮したような体験ができるこのネイチャーウォークは、知床初体験の方に特におすすめです。
🏞 羅臼湖トレッキング
本格派向けのトレイルで、湿原や高山植物、静かな湖の景色を満喫。片道3km・4時間程度で体力と準備が必要。
🏞 羅臼湖トレッキング
知床の奥深い自然に踏み込む本格派のトレッキングを望む方にぴったりなのが、「羅臼湖トレッキング」です。このコースは、知床半島の東側、羅臼町からアプローチするルートで、標高約600〜700mの高地を歩くため、空気も清涼で、夏でも涼しく快適な山歩きが楽しめます。コース全体で片道約3km、往復で4〜5時間程度を要するため、ある程度の体力と登山装備が必要です。
羅臼湖は、知床最大の湖で、標高約700mの場所に位置しており、湖までの道中には「三の沼」「五の沼」などの小さな湿原や池塘(ちとう)が点在しています。これらのポイントは、春にはミズバショウやザゼンソウ、夏にはエゾカンゾウやワタスゲなど、時期によって異なる高山植物が一面に咲き誇る絶景スポットとなります。湿原の中を木道で進む区間もあり、写真好きにはたまらない瞬間がいくつも訪れます。
また、天気が良い日には、羅臼湖の背景に雄大な羅臼岳(標高1,661m)が映り込み、湖面に逆さ富士のように映し出される風景が見られることも。早朝出発で天候が安定している日には、この幻想的な光景を目にするチャンスもあるでしょう。水辺にはアメンボやトンボが舞い、小さな生命の営みが静かに続いている様子も、見どころの一つです。
このコースの魅力は、観光地化されていない“手つかずの自然”にじっくりと触れられる点にあります。一方で、道中はぬかるんだ箇所やアップダウンもあり、雨天時や前日の雨の影響で滑りやすくなるため、防水の登山靴とトレッキングポールがあると安心です。また、クマの出没情報が出ることもあるため、ガイド付きツアーの利用が推奨されます。
羅臼湖トレッキングは、単なる観光では味わえない、静けさと自然の深さに心が洗われるような体験ができるコースです。山歩きが好きな方、花や景色をじっくり観察したい方、静かなひとときを大切にしたい方には、特におすすめです。
知床トレッキング一覧表(2025年)
コース名 | 期間 | 時間 | 難易度 | 料金 |
---|---|---|---|---|
知床五湖トレッキング | 4/20~11/8 | 約3時間 | ★★☆☆☆ | 6,000円 |
原生林&断崖絶景トレッキング | 4/1~11/30 | 約3.5時間 | ★★★☆☆ | 6,000円 |
フレぺの滝ネイチャーウォーク | 4/1~11/30 | 約2時間 | ★☆☆☆☆ | 4,000円 |
羅臼湖トレッキング | 春~秋(要確認) | 約4時間 | ★★★★☆ | 要予約 |
🚗 アクセス方法(知床への行き方)
知床半島は北海道の東端に位置し、一般的には「ウトロ(西側)」「羅臼(東側)」の2拠点を目指します。
▶️ 飛行機+レンタカーのルート(最も一般的)
出発地 | 到着空港 | 所要時間 | メモ |
---|---|---|---|
東京(羽田) | 女満別空港 | 約1時間50分 | ANA/JAL便が毎日運航 |
大阪(伊丹) | 女満別空港 | 約2時間 | 乗継あり |
女満別空港 → 知床ウトロ | 約2時間(車) | レンタカー推奨 |
-
羅臼方面を目指す場合は、根室中標津空港が近く便利(車で約1時間半)。
-
女満別空港→斜里駅(JR)→バス利用も可能だが、本数が少なく時間に制限あり。
🗓 おすすめ日程プラン(2泊3日モデル)
【1日目】
-
女満別空港到着 → レンタカーで知床ウトロへ
-
午後:知床自然センター&フレぺの滝ネイチャーウォーク
-
夕方:オシンコシンの滝見学
-
夜:温泉宿に宿泊(ウトロ温泉がおすすめ)
【2日目】
-
朝:ガイド付きで「知床五湖トレッキング」
-
昼:地元食材ランチ(ウトロ港周辺の海鮮)
-
午後:原生林&断崖トレッキング、またはカムイワッカ湯の滝へ
-
夜:星空観察・宿泊
【3日目】
-
早朝:羅臼湖トレッキング(希望者のみ)
-
午前:ウトロ→女満別空港へ移動
-
昼:空港周辺でお土産・昼食
-
午後:帰路へ
服装・装備のポイント
-
靴&服装:トレッキングシューズ、速乾性素材・防寒に備えたレイヤー。滑りやすい岩場でしっかり固定できる靴が必須。
-
小物:虫除け・雨具・帽子・手袋など。
-
持ち物:水500ml以上、行動食、地図、携帯の予備電池。
-
その他:熊よけの鈴、ファーストエイドキット。ガイドツアーでは装備のレンタルが可能な場合もあります 。
🎒 装備チェックリスト(初心者向け)
種類 | 必須 | 備考 |
---|---|---|
トレッキングシューズ | ✅ | 防水タイプ・滑りにくいもの |
速乾性インナー・レイヤー服 | ✅ | 汗冷え防止・脱ぎ着しやすく |
ウインドブレーカー・レインウェア | ✅ | 山の天気は変わりやすい |
帽子・サングラス | ✅ | 日差し・紫外線対策 |
飲み物(500ml以上) | ✅ | ペットボトルorハイドレーション |
行動食(ナッツ・チョコ等) | ✅ | 長時間の歩行に備える |
熊よけの鈴・ホイッスル | ✅ | ガイドが用意する場合もあり |
タオル・ティッシュ | ✅ | 汗拭き・トイレ対策 |
ザック(リュック) | ✅ | 両手を空けるため必須 |
カメラ・双眼鏡 | 任意 | 自然観察に便利 |
常備薬・救急セット | 任意 | 登山前には体調管理も大切 |
安全・保護のための重要情報
-
クマ対策:ガイド同行コースは安全性が高いですが、音を出す、鈴を鳴らすなど自衛策が推奨されます。
-
道路制限:一部コース(カムイワッカ湯の滝など)は夏季マイカー規制あり。シャトル使用が必要。
-
事前予約:知床五湖やカムイワッカ登山は混雑や保護対策期間中は予約制。最新情報は自然センター等で確認を。
誰におすすめ?目的別ガイド
-
絶景メイン:原生林&断崖トレッキング、フレペの滝
-
ゆったり自然散策:知床五湖ツアー
-
自然と文化融合の山歩き:羅臼湖トレッキング(高山植物・野鳥観察向け)
最後に
シンプルな短時間散策から本格派の山歩きまで、知床トレッキングは豊かな自然を多角的に楽しむことができます。世界自然遺産ならではの原生の森・断崖・湖・滝、そして野生動物の息吹。ガイド付きツアーで安心・知識深い体験を。四季折々の自然が待つ知床へ、次の旅に是非組み込んでください!
✅ まとめ
知床トレッキングは、初心者から上級者までそれぞれの体力や目的に応じて選べる魅力的な自然体験です。
静寂な湖と原生林を巡る「知床五湖」、迫力ある断崖と海の景色を望む「原生林&断崖絶景ルート」、気軽に家族で楽しめる「フレぺの滝ネイチャーウォーク」、そして湿原や高山植物に囲まれる「羅臼湖トレッキング」など、多彩なコースが揃っています。
ガイド付きツアーで安全に、そしてより深く知床の自然を知る旅を。アクセスや装備情報も万全にして、世界自然遺産の神秘を肌で感じてみてください。